第2回 作法集研究会開催報告

常勤研究員 小宮俊海

 去る平成27年10月9日(金)、別院真福寺にて第2回作法集研究会が開催された。今回も前回に引き続き、智山講伝所上座阿闍梨の布施浄慧師をお招きし、『作法集』について御指南頂いた。布施師は、川崎大師教学研究所刊行『仏教文化論集』において論文「作法集の研究」を連載され、本宗における『作法集』研究の第一人者である。

 今回は、上巻の「流灌頂供養作法(ながれかんじょうくようさほう)」より「臨終大事」までを終え、さらに下巻の「土公供作法(どこうくさほう)」から「地鎮々壇合作法(じちんちんだんごうさほう)」までを解説された。「葬送迹祓作法(そうそうあとはらいさほう)」など今日ほとんど修されることのなくなってしまった作法についても言及され、在家者の葬儀がほとんど自宅で行なわれていた当時の様子や、「新墓所作法」については埋葬者が当時多くは土葬であったことについて述べられ、これらの作法が往時を偲ぶ縁となることを指摘された。
 また、「臨終大事」については中性院頼瑜の臨終の際に用いた印明であると解説され、当時隆盛をみる浄土教に対する真言密教行者の態度について言及された。
 下巻に移り「地鎮々壇合作法」については、佐藤良盛阿闍梨が作成された『作法集諸作法用意』なる小冊子の一部を参考資料として配布され、事前に支度を整える荘厳具についても解説された。
 当日は、智山講伝所の各先生ならび智山声明法式研究会の方々にもお知らせさせて頂いたところ大変多くの方々にお越し頂いた。本年度内に第3回を開催し、下巻最後までの御指南を頂く予定である。