院長あいさつ

智山伝法院は真言宗智山派の研究機関として次の目標をかかげる。

  1. 真言密教の思想にもとづいて現代社会の諸問題を受けとめ、教学の現代における展開をはかる。
  2. 宗団の子弟教育を継続的に充実させるために教育と研究を担う研究者を養成する。

このような目標をかかげる以上、研究のための自由な雰囲気を智山伝法院内に確保しておかねばならない。 智山伝法院は、その発足当初から、自由な議論と研究が保証されるために多大な努力が積み重ねられた。その努力を継続することがこれからも求められ続けなければならないであろう。

上記にかかげた目標と研究態度を堅持するために、智山伝法院は次のような態度を共有することにしている。

  1. 宗団の将来のために、真剣な理論形成と実践を求めて、宗内の諸機関と緊密に連携し、今できることを実践し、将来にむけての礎を築く。そのために智山派のすべての僧侶・教師が生涯研修をする場と情報を提供し、真言宗智山派の教育を支える人材養成に努める。
  2. 真言密教の思想を現代社会に問うために、宗外の研究者と積極的に交流し、つねに広い視野を確保し、研究の質を高める。そして積極的に宗派の外で力強く真言密教の思想を打ち出せる研究者の養成に努める。

智山伝法院の研究成果は主に『現代密教』に掲載される。この研究紀要の名称は発足当時から変わることはない。この名称にこそ、智山伝法院のこだわりが凝縮している。それは宮坂宥勝初代院長(真言宗智山派前管長・総本山智積院前化主)の提言で「真言密教の現代化」をテーマとして研究活動を開始したことに由来する。宮坂宥勝初代院長の理想とする精神は脈々と受け継がれているし、これからも堅持されねばならないであろう。

今、学問の世界は百花斉放の観を呈している。しかし学問が細分化するにしたがい、その学問に携わる人間が自らの立ち位置を見失う危険も潜んでいる。今や学問の研究対象となって久しい仏教を学問として研究しなければならないが、自らの信心を問うとき、学問を超えて仏陀の世界を受けとめる足場を築かなければならない。そして、その足場を多くの人々と共有することが求められている。

私たちはこのような困難を自らの研究のなかで背負いこみ、歩みを進めてゆかねばならないであろう。そして智山伝法院はその責務を全うする研究者の集う場になるように、研鑽に努めてゆきたい。

宗団の内外の諸賢のご協力とご指導を賜り、智山伝法院が真言密教の理想を高く掲げる学問の場であり続けることを願い、そして誓うものである。

智山伝法院院長 廣澤 隆之


 

 
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