春季彼岸会法要

お彼岸は春と秋の年2回やってきます。春分の日を中心に前後3日間づつ、1週間にわたって行われるのが春のお彼岸です。

彼岸とは、正しくは到彼岸(とうひがん)といい、梵語(ぼんご)のパーラミター(波羅蜜:はらみつ)の訳語です。彼岸は三途の川の向こう岸、悟りの世界を意味し、此岸(しがん)はこちらの岸、迷いの世界を意味します。到彼岸とは、迷いの世界である此岸と彼岸を分かつ川を渡って悟りの世界に到達する願いをこめた言葉です。

此岸から彼岸へと川を渡る舟にたとえられるものが六波羅蜜行(ろっぱらみつぎょう)で、

①布施(ふせ)、   ②持戒(じかい)、  ③忍辱(にんにく)、
④精進(しょうじん)、⑤禅定(ぜんじょう)、⑥智慧(ちえ)

の6つ実践することを言います。これは自分自身だけでなく、多くの人と共に悟りを求め、充実した生活を送ることを願ったものです。ですから、本来は日常生活の中にこそ、彼岸を求める行為が大切となります。しかし、日々の生活に追われていると、大事なことと思いつつも、ついおろそかになりがちです。だからこそ、せめてお彼岸のあいだは、腰を据え、しっかりと考える時間を持ち、心安らかな彼岸を求めましょう。

彼岸会法要はこういった考え方をもとに行う法要で、彼岸を求める行いのひとつであるご先祖さまのご供養をします。

智積院では春分の日に、春季彼岸会法要を厳修(ごんしゅう)しています。ぜひご供養の心を形に表すためにも塔婆を建立し、ご本尊大日如来の徳にあずかっていただきたいと思います。