お知らせ

障壁画想定復元模型が奉納されました

05月17日

 平成29年5月17日智積院に安原成美先生より祥雲寺客殿障壁画の想定復元模型が奉納されました。模型は智積院収蔵庫に展示しましたので、参拝の折には是非ご覧ください。

201705171621_1-339x277-339x277.png201705171621_2-351x378.png
    201705171621_3.png

祥雲寺客殿障壁画の復元

-国宝「松に黄蜀葵及菊図」智積院蔵の想定復元模写を中心として-

 

 智積院障壁画は、火災や盗難、また改変時の切り詰めなどで、当初の姿とは大きく異なっています。元は同所に建てられていた祥雲寺客殿の障壁画として長谷川等伯とその一門によって制作されたもので、祥雲寺客殿は天和2(1682)の火災で焼失したが、僧侶や一般の人々により建物内から運び出されたことで現存するもので、当初の作品の多くが失われはしたものの、襖絵や床貼付、壁貼付などの障壁画25面と2曲屏風1双が桃山時代障壁画の最高傑作として、国宝に指定されている。

 

 智積院に客殿衆入間床貼付と宸殿違棚貼付として伝わってきた「松に黄蜀葵及菊図」は、制作された当初は6枚以上で構成された襖絵であり、そのうちの3枚を中心として改変されたものです。

 更に、床貼付の中には本図と連続する襖絵の一部も含まれていた。描かれた当初の「松に黄蜀葵及菊図」は、二股に別れた巨大な松が画面の天地を貫くように描かれており、周りには、黄燭葵、芙蓉、菊の花が咲き、薄が大きくその葉を伸ばしていました。

 祥雲寺客殿室中障壁画は、東西の壁面に本図と「松に秋草図」がお互いに調和するように描かれていました。室中北面は盗難され、具体的にどのような図像が描かれていたかは不明ですが、おそらく松の幹は描かれておらず、本図の右方向に伸びる松の幹から伸びる枝が描かれていたと想像されます。本図の二股に別れた松は、左右に大きく枝を伸ばして、対面に描かれていた「松に秋草図」と共に室中全体を覆うように広がっていました。室中障壁画の中には、風が吹いている様子が表現されている。室中南寄りの画面は静的で草花も真っ直ぐ天に向かって生えているが、画面が仏壇の間に近づくに従い草花は動き出し、最後は茎が水平になる程に激しい風に靡いている。この風の描写により、草花に視覚的な動きが生じ、画面全体に躍動感を与えています。静寂に包まれた世界から動的な世界へ見事に展開し、鑑賞者の視線を自然に仏壇の間へと誘導しているのである。模型を見ると、長谷川等伯が壮大かつ綿密な計画に基づき、祥雲寺客殿の内部空間を見事に演出していたことが分かります。

 

安原 成美(やすはら しげみ)

昭和59年 埼玉県生まれ

平成22年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業

平成24年 東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻
     保存修復日本画研究領域修了

平成28年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻
     保存修復日本画研究領域博士後期課程修了 博士号取得
     日本美術院院友

受賞

平成20年 安宅賞(東京藝術大学)受賞

平成23年 卒業制作 奨励賞(東京医科歯科大学教養部)受賞

平成27年 平山郁夫奨学金(東京藝術大学)受賞

平成28年 野村美術賞 受賞 修了作品東京藝術大学収蔵
     平山郁夫文化芸術賞 受賞